テンジクネズミ科(Caviidae)  クイ属(Galea)                      
 
分布   G.flavidens    :ブラジル          
  G.musteloides  :ペルー南部、ボリビア、アルゼンチン    
  G.spixii      :ブラジル、ボリビア東部、パラグアイ    
    ・昼行性。岩と叢林のあるエリアや高台の草地に生息する。    
体長   15〜25cm。尾長は0cm。        
体重   0.6〜1.2kg、新生獣 40g。        
特徴   ・背部の毛はアグーチ、腹部は灰色がかった白。      
  ・前歯が黄色を帯びた色で、顎下に臭いを出す腺がある。    
  ・前足は4本指、後足は3本指。1ペアの鼠蹊と1ペアの乳房を持っている。  
    ・様々な声で鳴く。          
寿命   G.musteloidesは、飼育で22か月以上、野生で15か月以上生存した。  
    G.spixiiは飼育で4年7か月間生存した。      
食物   草、雑草、他の植物          
性的成熟   牡 3ヶ月、牝 2ヶ月。          
    牝の個体によってははるかに早い。(生まれて9日で妊娠した記録がある)  
発情サイクル   平均約22日。受胎可能時間は2-3時間。        
出産時期   出産は一年中可能だが、ほとんどは春から夏に生まれる。    
妊娠期間   49-60日、平均53日。          
出産頭数   1-7頭。平均頭数は、G.musteloides 3頭、G.spixii 2頭    
出産後の発情   ・牝は多発情性。直ちに発情するが、自発的排卵と言うより、牡の存在が発情を  
   刺激するために必要であると観察されている。    
  ・牡が顎を牝の臀部に密着させてついていく。顎下の腺(牡の方が発達している)  
     と、その行動様式が発情を引き起こすことに関係する、と考えられている。   
離乳期間   3週間。誕生後すぐに動きまわることができる。      
    乳を分泌する牝は、自分の子供以外にも乳を与える(乳児を集団で育てる傾向)。  
 
・時々自分で穴を掘るが、石壁中の割れ目やアルマジロ、チンチラ、ツコツコのようなより大きな動  
 物に放棄された穴を使用する。  
・クイは生殖活動が乱交であることが知られている。 Rood(1972)は、牝が牡に対して支配的である  
 と報告しているが、クイの生殖が一雌多雄性であることと関連するかもしれない。  
・乱交は、単に牡の生殖機会を増加させると考えられていたが、最近では牝側からの利点も指摘され  
 ている。牝は自ら積極的に多数の牡と交尾した後に妊娠出産するが、牝は相手を選り好みすること  
 も報告されている。  
・戦いに勝った牡だけが子孫を残す権利を持つ、という一般に考える種の保存からすると、乱交は全  
 く逆である。しかし、複数交尾による体内での精液競合によってより強い子孫を残す、と考えれば  
 とりあえずは納得できる。  
・しかしながら、「牝は相手を選り好みする」点を考慮すると、強い子孫を残す意味での「種の保存」  
 は薄れてしまう。乳児を集団で育てる傾向があることからしても、乱交は子育てする機会を増加さ  
 せるために、単に妊娠する確率を高める意味の方が大きいように思われる。  
 今後新たな研究報告に期待。  
 
 
 
 
参考資料  
RODENTIA; CAVIIDAE; GALEA Yellow-toothed Cavies  
SpringerLink Behavioral Ecology and Sociobiology