Caとシュウ酸の関係 〜シュウ酸は本当に悪いの?〜 |
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モルモットにとって良い食べ物って何だろうと、調べてみたんだ。 すると、ある関係に気付いた、カルシウムとシュウ酸。 例えば、結石で検証すると・・・。 |
□ 尿石症1.モルモットにおける結石のタイプ ● 炭酸カルシウム結石 ・中性からアルカリ性尿で結晶化される。 ● リン酸カルシウム結石 ・アルカリ性尿で結晶化される。 ・副甲状腺に腫瘍ができて副甲状腺ホルモンが大量に分泌されると、 尿中にカルシウムとリンが排泄され、結石の原因となる。 ● ストラバイト(Struvite、リン酸アンモニウムマグネシウム)結石 ・pH7より上のアルカリ性尿で結晶化され、pH6.6以下で溶解する。 ・殆どが尿路感染症罹患時に生成される。細菌の中には尿中の尿素 を分解してアンモニアを作るものがあり、これが結石の原因となる。 ・犬猫では約70%がこの結石と言われている。 ● シュウ酸カルシウム結石 ・酸性〜中性尿で結晶化される。 ・人間では70%前後がこの結石と言われている。 |
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表 モルモットの尿石症
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資料:Urolithiasis in 20 guinea pigs (cavia porcellus) http://www.wugnet.de/mitglieder/wenzel/urolith.htm 資料は、尿石症の20頭(1989〜96年)を対象に分析されている。 それによると、 ・全ての尿石症がタイプの違う2つ以上の結石の複合型。 ・モルモットの尿石症の罹患率は、1.3(牡)-5.2(牝)%で、犬と同等。 (犬は牡の罹患率が牝の2倍と言われている) ・モルモットは、牝の方が、また高年齢の方が尿石症になりやすい。 ・膀胱結石が7件(35%)、尿道結石が13件(65%)だった。 ・ストラバイトの10件は、全て尿道結石で、全て牝だった。 ・別の報告でも膀胱炎になるのは殆どが牝であることから、尿路感染 症は女性ホルモンや妊娠に影響されるかもしれない。 等が報告されている。尿石症に興味がある人には必読の価値あり。 |
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モルモットの尿はPh9のアルカリ性のため、当然のことながら殆どがア ルカリ性尿で形成される結石となっている。中でも炭酸Ca結石を伴うも のが最多であり、成分としてのウェイトも大きい。 資料には記載されていないが、尿路感染症の治療や結石の肥大化を避 けるために、尿を酸性に傾けさせる治療を行うことがある。例えば、クラン ベリーのようなものを使用するが、その結果、酸性尿で結晶化する蓚酸 Ca結石が新たに形成される可能性がある。報告の3件(少なくともストラ バイトと並存している2件)はそのように形成されたと推定するのだが...。 |
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□ 尿石症2.シュウ酸の働きとシュウ酸カルシウム結石 シュウ酸Ca結石の形成では、カルシウムよりも尿中のシュウ酸が重 要(マイナスの意味で)な働きをすることが分かっています。シュウ 酸の働きと、結石の形成過程は次の通りです。 1.シュウ酸は体内へのCa吸収を妨げる ・シュウ酸は摂取した食物内のCaと消化管内で結合(シュウ酸Ca として結晶化)し、便と一緒に排泄される。 ・シュウ酸とCaの結合では、シュウ酸:Ca重量比が、約2:1 とされている。 |
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@.Caが残った場合、体内に吸収され、一部尿中に排出される。 |
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A.シュウ酸が残った場合、シュウ酸は尿中に排出される。 |
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*Aの時には、Caは体内に吸収されない。 *「Caはシュウ酸を相殺する」と言うこともできる。シュウ酸 を排除するためには、より多くのCaを摂取すればよい。 2.シュウ酸Ca結石は、尿中シュウ酸が重要な原因 ・尿中の尿酸値が高まると体内の細胞から尿中にCaが排出される。 ・そのCaと1-Aのシュウ酸が結晶化し、結石の原因となる。 |
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*多少の結晶化は正常時でもよくあることで、尿と一緒に排泄さ れるため、必ず結石を形成するとは限らない。 3.モルモットにおける前提 ・シュウ酸Caは、酸性〜中性尿で結晶化される。 ・正常なモルモットの尿はPh9のアルカリ性。 ・通常、モルモットはよく水を飲む。 (余分な尿中Caも尿と共に排泄される=白濁尿) 4.結論 ・モルモットでは、シュウ酸Ca結石は極めてできにくい。 ・逆に、シュウ酸のCa過剰を防止する働きに注目すべし。 ・シュウ酸値の高い野菜(=ほうれん草等)も使い方次第。 モルモット飼育の先進国アメリカのHPを見ると、「モルはほうれん 草を好む」といった記述や、与えるエサとしてほうれん草の名を挙 げている例を見かけます。 |
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